更新日:2024年6月24日
公営住宅の家賃の決定方法について
公営住宅の家賃は、法令により、毎年度入居者からの収入の申告に基づき、入居者の収入や公営住宅の立地条件、規模、経過年数、その他事項に応じ、近傍同種の住宅の家賃以下で事業主体(住宅を管理している県や市町村)が定めるとされています。
家賃の決定には、入居者の世帯収入などで決まる「収入月額」と「収入分位」、建物の立地条件や規模、経過年数などで決まる「本来家賃」と「近傍同種家賃」というものが関係してきます。
収入月額
収入月額は、世帯の所得や世帯構成、障がい者の有無などを勘案し、下記の方法で算出されます。
算出された収入月額を事業主体(管理している県や市町村など)が認定し、この額が入居の可否などにも用いられます。
公営住宅法に基づく収入月額の算出は、次の式で行われます。
収入月額=(所得の部-控除の部)÷12ヶ月
所得の部は、入居者本人を含む世帯員全員の所得の合計、控除の部は「基本的控除」と「その他の控除」の合計です。
「基本的控除」と「その他の控除」は次のとおりです。
控除の種類 | 内容 | 控除額 | |
---|---|---|---|
基本的控除 | 所得調整控除 | 給与所得又は公的年金所得を有する方 | 1人につき10万円 |
同居親族 | 本人以外の同居親族(婚約者を含む。) | 1人につき38万円 | |
別居扶養親族 | 別居している所得税法上の扶養親族(同一生計配偶者を含む。) | 1人につき38万円 |
|
その他の控除 | 老人扶養親族 | 同一生計配偶者又は所得税法上の扶養親族のうち70歳以上の方 | 1人につき10万円 |
16歳以上23歳未満の扶養親族 | 16歳以上23歳未満の所得税法上の扶養親族 | 1人につき25万円 | |
障がい者 | 本人、同居親族又は別居扶養親族の中で障がい者手帳の交付を受けている方(特別障がい者を除く。) ・身体障がい3級以下・精神障がい2級以下 ・知的障がいB1以下 |
1人につき27万円 | |
特別障がい者 | 本人、同居親族又は別居扶養親族の中で重度の障がい者手帳の交付を受けている方 ・身体障がい1級又は2級・精神障がい1級 ・知的障がいA1又はA2 |
1人につき40万円 | |
寡婦控除 | 本人又は同居親族のうち、次の1又は2に当てはまる方で、ひとり親に該当しない方 |
1人につき27万円 |
|
ひとり親控除 | 本人又は同居親族のうち、現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者のうち、以下の要件を満たすもの |
1人につき35万円 |
収入分位
収入分位は、収入月額を金額で8段階に分けた区分です。
収入分位ごとに家賃算定基礎額が定められており、家賃算定基礎額に市町村の立地条件や建物の経過年数など法令で定められた数値を乗じて家賃が算定されます。
収入分位及び家賃算定基礎額は次の表のとおりです。
収入分位、収入月額及び家賃算定基礎額 | ||
---|---|---|
収入分位 | 収入月額 | 家賃算定基礎額 |
1 | 104,000円以下 | 34,400円 |
2 |
104,001円以上123,000円以下 | 39,700円 |
3 |
123,001円以上139,000円以下 | 45,400円 |
4 | 139,001円以上158,000円以下 |
51,200円 |
5 | 158,001円以上186,000円以下 |
58,500円 |
6 | 186,001円以上214,000円以下 |
67,500円 |
7 | 214,001円以上259,000円以下 |
79,000円 |
8 | 259,001円以上 |
91,100円 |
本来家賃
本来家賃の算定方法は、次の式を用い、収入分位ごとに算定されます。
本来家賃=家賃算定基礎額×市町村立地係数×規模係数×経過年数係数×利便性係数
・市町村立地係数
0.7以上1.6以下の範囲で国土交通大臣が市町村ごとに定める数値
・規模係数
床面積の合計を65平方メートルで除した数値
・経過年数係数
公営住宅の構造ごとに建設時からの経過年数に応じて1以下で国土交通大臣が定める数値
・利便性係数
0.5以上1.3以下で公営住宅を管理している県や市町村が定めます。
近傍同種家賃
近傍同種家賃とは、近隣で建築年数や部屋の面積などが同等の場合の一般の賃貸住宅の家賃のことです。
「収入超過者」や「高額所得者」に認定された場合、法令で定められた割り増し率で家賃が割り増しされ、最終的には近傍同種家賃と同額になります。
近傍同種家賃=(複製価格×利回り+償却額+修繕費+管理事務費+損害保険料+貸倒れ及び空家引当金+公課)÷12