北谷町の綱引き
139/234

③各家庭での6月力シチーとシチュマカミラシ大綱引きの行われる旧暦6月25日は、収穫したもち米を蒸して強飯をつくり、神仏に供える6月カシチーウユミ(折目)である。戦前の北谷三ヵ字の各家庭でも、毎年旧暦6月25日には、新米で炊いた白カチシーや、豆腐ンブサ一、ウチャワキ〈お茶うけ)などを火ヌ神・仏壇・神棚などに供え、家庭の平穏や、家族の健康などを願った。神仏に供えたカシチーの残りは数センチ角の長方形に切り分け、サギジョーキ一個通しのよい場所につり下げる蓋付き寵)に入れて保存し、それを数日問いただくこともあった(旧字玉代勢・宮平首さん、旧字北谷・末吉文さん談)。また、この日北谷三ヵでは、実家の兄弟が婚出した姉妹に対し、新米で炊いたご飯を大盛り(ムイブン)にして届ける「シチュマカミラシJという習俗があった。「シチュマカミラシJとは、稲刈りや籾摺りに協力してくれた姉妹を実家に招いて、ご馳走などでもてなし、新米で炊いたご飯をムイブン(大盛り)にしてお土産に持たせたり(旧字伝道・伊礼ツルさん談)、夕食に間に合うように実家の兄弟から姉妹の嫁ぎ先に届けたりする家レベルの行事であった(旧字北谷・上関シズさん、旧字玉代勢・宮平苗さん談)。現在は、各家庭で簡単にウチャワキ(お茶うけ)を供えるのみで、姉妹に対す実家の兄弟(実家を継ぐ兄弟)からの「シチュマカミラシJの習俗は見られない。参考文献北谷町史編集事務局編、『北谷町海岸・海域地名』、北谷町役場、1985.外間守善・波照問永吉編、『定本琉球国由来記』、角川書庖1997.平敷令治、「沖縄の綱引一備え、怒り、祈りj、『沖縄の祭租と信仰』、第一書房、1990.南風原町史編集委員会、『樟嘉山大綱曳き調査報告書』、南風原町教育委員会1992. 北谷町史編集委員会編、『北谷町史第二巻資料編l前近代・近代文献資料』、北谷町役場、1992.北谷町史編集委員会編、『北谷町史第三巻資料編2民俗上』、北谷町役場、1992.北谷町史編集委員会編、『北谷町史第三巻資料編2民俗下』、北谷町役場、1994.北谷町教育委員会、『北谷町の拝所一北谷町文化財調査報告書第15集一』、1995.沖縄大百科事典刊行事務局、『沖縄大百科事典』中巻、沖縄タイムス社、1983.-134ー

元のページ  ../index.html#139

このブックを見る