○北谷町男女共同参画推進条例

平成28年3月31日

条例第6号

我が国においては、日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、国際社会の取組と連動した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の批准や「男女共同参画社会基本法」の制定など男女平等の実現に向けた様々な取組がなされてきた。

北谷町においては、平成14年3月に男女共同参画の推進の指針となる「北谷町ニライのまちづくり男女共同参画推進計画」を策定し、男女共同参画社会の実現に向け取り組んできた。

しかしながら、現状は、長い歴史の中で形成された「男は仕事、女は家庭」という性別による固定的役割分担意識やこれに基づく社会通念、慣習、しきたり等が依然として根強く存在し、時として様々な分野への女性の進出を妨げ、また、男性の生き方にも影響を与えており、自らの意思によって多様な生き方を選択できる真の男女共同参画社会の実現には、まだ多くの課題が残されており、その克服に向けてなお一層の努力が求められている。

ここに、私たち北谷町民は、一人ひとりが、いきいきと輝き、互いの生き方を尊重し、その責務を担い、次世代につなげていくため、町、町民、事業者、教育関係者、自治会等及び各種団体が一体となって真の男女共同参画社会の実現を総合的かつ計画的に推進することを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町民、事業者、教育関係者、自治会等及び各種団体(以下「町民等」という。)並びに町の責務を明らかにするとともに、町が実施する施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって全ての人が、互いの人権を尊重し、いきいきと暮らせる男女共同参画社会の実現を目指すことを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 全ての人が、性別にかかわりなく個人として尊重され、社会の対等な構成員として、互いにその人権を尊重し、責任を分かち合い、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、その個性と能力を発揮することにより、全ての人が、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的な利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 町民 町内に住み、又は町内で働き学び、若しくは活動する人をいう。

(3) 事業者 町内において事業活動を行う全ての個人及び法人をいう。

(4) 教育関係者 町内において学校教育、社会教育その他の教育に携わる者をいう。

(5) 自治会等 自治会その他町内の一定の区域に住所を有する者等の地縁に基づき形成された団体(郷友会、戸主会等)をいう。

(6) 各種団体 町内において自発的な社会活動を行う非営利団体をいう。

(7) 積極的改善措置 男女共同参画の機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、その参画する機会を積極的に提供することをいう。

(8) 性別による固定的役割分担意識 男女を問わず個人の能力等によって役割の分担を決めることが適当であるにもかかわらず、男性、女性の性別によって「男は仕事、女は家庭」、「男性は主要業務、女性は補助的業務」というように、性別を理由として役割を固定的に分ける意識のことをいう。

(9) ワーク・ライフ・バランス 全ての人が仕事上の責任を果たすとともに、家庭生活、地域活動、個人の自己啓発その他活動において多様な生き方を選択し、及び実現できる状態をいう。

(10) セクシュアル・ハラスメント 相手の意に反した性的な嫌がらせを行い、それに対する対応によって、仕事や社会生活をする上で一定の不利益を与えたり、それを繰り返すことによって生活環境を害することをいう。

(11) ドメスティック・バイオレンス 配偶者や恋人等密接な関係にある、又はあった者から受ける身体的、精神的、性的、経済的又は言語的な暴力又は虐待(子どもを巻き込んでの暴力を含む。)をいう。

(12) マタニティ・ハラスメント 妊娠、出産、育児休業等を理由とする解雇、減給、降格等の不利益な取扱いをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、次に掲げる事項を基本理念として行わなければならない。

(1) 全ての人が、性別にかかわりなく個人として尊重され、差別的取扱いを受けることなく、様々な場面で個人としての能力を発揮できる機会が確保され、平等・対等な立場が保障されること。

(2) 全ての人が、性別による固定的役割分担意識に基づく社会の制度又は慣行が、社会における活動の自由な選択に対し影響を及ぼすことがないよう配慮されること。

(3) 全ての人が、性別にかかわりなく個人として尊重され、社会の対等な構成員として、地域、防災その他のあらゆる分野において、町における政策又は事業者を含むあらゆる団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 全ての人が、性別にかかわりなく個人として尊重され、教育の果たす役割の重要性を考慮し、学校教育をはじめとするあらゆる分野の教育において、人権教育及び男女平等教育が実現されるよう配慮されること。

(5) 家族を構成する全ての人が、性別にかかわりなく互いの個性を尊重し、相互の協力と社会の支援の下、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、職場、地域等における活動と両立できるよう配慮されること。

(6) 全ての人が、性別にかかわりなく互いの性を理解し合い、妊娠、出産その他の性と生殖に関する健康と権利が尊重されること。

(7) セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス及びマタニティ・ハラスメントの性による人権侵害は、社会的な構造が背景にあることの認識の下に、根絶されるよう配慮されること。

(8) 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と協調の下に行われること。

(町及び町民等の協働)

第4条 町及び町民等は、それぞれの主体的な取組及び相互の連携協力により男女共同参画の推進を協働して行わなければならない。

(町の責務)

第5条 町は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)に則り、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施する責務を有する。

2 町は、男女共同参画の推進に関する施策の実施に当たっては、国、県及び町民等と相互に連携し、協力を図らなければならない。

3 町は、男女共同参画の推進に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

4 町は、町民等の模範となるように自ら率先して男女共同参画の推進に取り組まなければならない。

(町民の責務)

第6条 町民は、基本理念に則り、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に努めるとともに、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念に則り、全ての人に対し性別にかかわりなく雇用上の均等な機会及び待遇を確保するとともに、職場における活動に対等に参画する機会を確保し、職場、家庭その他の活動を両立して行うことができるよう職場環境を整備し、ワーク・ライフ・バランスの実現に努めるものとする。

2 事業者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(教育関係者の責務)

第8条 教育関係者は、基本理念に則り、男女共同参画の推進に果たす教育の重要性を深く認識し、個々の教育本来の目的を実現するために教育を行うよう努めるものとする。

2 教育関係者は、性別にかかわりなく能力、個性を生かせる教育及び男女平等教育の推進に努めるものとする。

3 教育関係者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(自治会等の責務)

第9条 自治会等は、基本理念に則り、地域社会における自治の主たる担い手として重要な役割を果たす存在であることを考慮し、地域活動においては、男女共同参画の推進のための取組を行うとともに、町が実施する施策に協力するよう努めるものとする。

2 自治会等は、全ての人が共に活動していくために役職の構成に当たっては、性別を理由に異なった取扱いをしないよう努めるものとする。

(各種団体の責務)

第10条 各種団体は、基本理念に則り、その活動において、方針の決定、計画の立案等において全ての人が、性別にかかわりなく参画する機会を確保するよう努めるものとする。

2 各種団体は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(性別による差別的取扱いなど人権侵害の禁止)

第11条 何人も、社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、マタニティ・ハラスメント等他人の人権を侵害するいかなる行為もしてはならない。

(公衆に表示する情報に関する配慮)

第12条 何人も、公衆に表示し、又は発信する情報において、性別による固定的な役割分担、男女間における暴力、性的暴力等を正当化し、若しくは助長させるような表現又は人権を侵害するような過度の性的な表現を行わないよう配慮しなければならない。

(男女共同参画推進計画)

第13条 町長は、男女共同参画社会の推進に関する施策についての男女共同参画推進計画を策定しなければならない。

2 町長は、男女共同参画推進計画を策定するに当たっては、あらかじめ町民等の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。

3 町長は、男女共同参画推進計画を策定するに当たっては、あらかじめ第23条に規定する北谷町男女共同参画会議(以下「参画会議」という。)の意見を聴かなければならない。

4 町長は、男女共同参画推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前3項の規定は、男女共同参画推進計画の変更について準用する。

6 町長は、男女共同参画推進計画の実効性を高めるため、推進状況を把握し、及び分析して方策を講ずるものとする。

(施策の策定及び実施に当たっての配慮)

第14条 町は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、男女共同参画社会の推進に配慮しなければならない。

(防災及び復興分野における措置)

第15条 町は、防災及び復興分野において、男女共同参画の視点を踏まえ情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(家庭生活との両立支援)

第16条 町は、全ての人が性別にかかわりなくともに家事、子育て、介護その他家庭生活における活動と職場、学校及び地域等における活動とを両立して行うことができるよう、情報の提供その他の必要な支援に努めなければならない。

(積極的改善措置)

第17条 町は、事業者が積極的改善措置を講ずるために必要な情報の提供、相談、助言その他の支援を行うものとする。

2 町は、附属機関等の委員を委嘱し、又は任命するときは、積極的改善措置を講ずることにより男女の均衡に努めるものとする。

(情報の提供及び理解を深めるための措置)

第18条 町は、男女共同参画の推進について、町民等の理解を深めるため、あらゆる分野において適切な情報の提供、広報及び啓発活動を講じなければならない。

(実施状況の公表)

第19条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について、公表しなければならない。

(調査研究)

第20条 町は、男女共同参画の推進に関する施策に必要な調査研究を行わなければならない。

(男女共同参画推進月間)

第21条 男女共同参画の推進を図るため、男女共同参画推進月間を設ける。

2 前項の男女共同参画推進月間は、毎年6月とする。

(活動への支援)

第22条 町は、町民等が男女共同参画の推進に関して行う活動を支援するための必要な措置を講じなければならない。

(参画会議)

第23条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策その他必要な事項を審議させるため参画会議を置く。

2 前項の参画会議の組織及び運営に関し必要な事項は、規則に定める。

(委任)

第24条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に策定されている「第二次北谷町男女共同参画推進計画~ハーモニープラン~」(平成24年4月策定)は、第13条の規定により策定し、及び公表された男女共同参画推進計画とみなす。

(北谷町附属機関設置条例の一部改正)

3 北谷町附属機関設置条例(平成20年北谷町条例第22号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

北谷町男女共同参画推進条例

平成28年3月31日 条例第6号

(平成28年4月1日施行)