北谷町の地名 -戦前の北谷の姿-
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発刊によせて地名は、その地域の自然・歴史・文化に根ざした貴重な歴史的遺産です。しかし、北谷町は沖縄戦において米軍の上陸地点となった地であり、戦後は全域が米軍の占領地となりました。その後、部分的に返還されたものの、かつての集落域の多くは、現在も米軍基地として使用されている状況です。そのため、地形や人々の生活様式も大きく変化してしまいました。それにともなって多くの地名も埋もれてしまい、今まさに消えようとしています。こうしたことから、北谷町教育委員会では町内の地名の記録保存・継承をはかるために、平成11年度より地名調査として聞取り調査を実施してまいりました。戦前の集落の様子を今に伝える方々も高齢に達し、間取りが難しい面も多々ありましたが、多くの貴重な話を伺うことができました。そのなかから、地名の呼称や由来、土地利用の方法、生活とのかかわり、集落で行なわれる祭杷・行事などについて、町内のご年配の方々から教えていただいた内容を中心にまとめたものが、この報告書となっております。北谷町の自然・歴史・文化を理解する一助となることと思います。また、町の事業や文化行政を行なう上でも利用・活用されれば幸いです。最後になりましたが、本報告書を調査から刊行までご指導していただき、立派に完成させていただきました名嘉順一先生、そして、本調査にご協力いただきました話者の方々ならびに関係者の方々に深く感謝申し上げます。これからも教育委員会では、民俗文化財の掘り起こし事業に努めていきたいと考えておりますので、町民のみなさまの、なお一層のお力添えをお願い申し上げます。平成18年3月5 北谷町教育委員会教育長瑞慶賀朝宏

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