北谷町の地名 -戦前の北谷の姿-
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付すのが理想だったろうoしかし、実際の作業は分析・考察の段階にはまるで追いつかなかった。ただ、地名を分析するということは、よく似た地形語を探したり、語源らしい古語をピックアップするといった作業だけで終わるものでもない。琉球語および日本語の体系全体を見ながら、地名のひとつひとつの語構成要素単位で、意昧の分析をしなくてはならないだろうOこれは北谷町の地名だけでなく、琉球語圏で地名を調査し、分析していくことにつきまとう課題であると思う。課題は山のようにあるが、北谷町域全体というまとまった量で、地名に関する情報を調査記録し、公開したという点で、この地名調査事業の意義は大きいと考える。この事業がこれほどの成果を達成できたのは、話者の方々が、何度も、何時間もかかる間取り調査に快く応じてくださり、ときには現地調査として長い距離を一緒に歩いてくださったからである。話者の方々に教えていただいた戦前の地名や土地の様子や暮らしぶりといった情報のすべてが、他で得ることは決してできない、貴重なものである。長い時間と多大な労力を割いてくださった話者の方々には、心より御礼を申しあげたい。また、北谷町内の各集落の郷友会や各行政区の区長の方々、町外の自治体の方々には、話者の紹介、間取り調査の際の場所提供、祈願行事の取材承諾など、さまざまな面ではかりしれない御助力をいただいた。それから、渡遺康志氏にはGISソフト導入の全般にわたって御指導いただいた。もしGISソフトが使えなかったら、調査用の資料づくりにも、データの整理にもいっそうの時聞がかかっていただろうし、この報告書も今あるようなかたちには仕上げられなかっただろう。また、沖縄コロニー印刷の方々には、図版や注の多いこの厄介な体裁の報告書の印刷をお願いし、さまざまなわがままに応えていただいた。他にも、たくさんの方々から数々の御指導や御協力をいただいて、この報告書はできあがった。御協力くださったすべての方々に厚く御礼を申しあげたい。[参考文献)『北谷町史第一巻~ 第六巻』『北谷町史別巻近代統計資料』『戦時体験記録北谷町』『北谷村誌』『北谷町文化財調査報告書第15集北谷町の拝所』『北中城の民話』『北谷字誌』~I日字伊礼郷友会誌』『上勢頭誌(上・中・下)~『下勢頭誌(戦前編・戦後編)~『沖縄大百科事典(上・中・下)~『沖縄語辞典』424 (北谷町史編集委員会)(北谷町史編集委員会1987) (北谷町役場1995) (北谷村役所1961) (北谷町教育委員会1995) (北中城村教育委員会1995) (金城至盛1986) (北谷町旧字伊礼郷友会2004) ( I日字上勢頭郷友会1997、1993、1998)(下勢頭郷友会2001、2005)(沖縄タイムス社1983) (大蔵省印刷局1998)

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