北谷町の綱引き
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(5)フェーヌシマ① フェーヌシマについてフェーヌシマとは、沖縄県内各地に分布する芸能のひとつである。「フェー」とは方位の南のことをいう。そのため「南の島Jr南島Jr南之島Jという漢字が当てられることがある。この名称とともに、意味不明な歌調が歌われるために南方から伝えられた芸能ともいわれているが、いまだ明らかにされていない。このフェーヌシマの芸態的特徴として、大城皐は「フェーヌシマ系の芸能Jの中で以下の7点をあげている(大城皐、1992: 38"'44)。一、四人以上の人数で、主に男性が演じる。二、仮面を被ったり、仮装したりする。その場合、顔を隠す工夫をする。特異な扮装をする。三、棒を持つ。棒の先端に金属輸を付けることもある。棒を打ち合う所作がある。四、挑躍したり、転がる所作がある。また、手を高くあげたり、足を高くあげる所作もある。上体を後ろに反らす所作などもある。五、演技中に、掛け声や奇声を発する。六、使用される楽器はドラ、太鼓、ホラ貝、鉦、笛、三線などである。七、意味不明な歌詞が歌われる。このようにフェーヌシマは、沖縄の芸能のなかでも独特なものである。しかし、伝承の経緯や歌詞の意味など不明な点が多く、今後の調査・研究が待たれる。『那覇市文化財調査報告第1集那覇安里のフェーヌシマ』によると、沖縄県内にはフエーヌシマ及び同系統と思われる芸能が27ヵ所の地域に分布している。それを名称別に分類してみると以下のようになる。フェーヌシマ:名護市字嘉陽、思納村字名嘉真・仲泊、金武町字伊芸、読谷村字長浜、北谷町字北谷、宜野湾市普天間・野嵩・新城、北中城村字熱田、中城村宇津波、那覇市安里ペンシマ:伊江村字西江上棒:糸満市字真栄里、玉城村字垣花、与那国町与那国(祖納)棒ふり:上野村宇野原・新里ヨンシー・棒:多良間村字塩川ハイヌスマカンター棒:石垣市新川ハイヌスマ棒:石垣市大川・登野城・平得・大浜サンダルロー:竹富町字竹富ダートゥダー:竹富町字小浜獅子棒:竹富町字黒島(東筋)タイラク:竹富町字黒島(保里)-52-

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