北谷町の綱引き
176/234

嫁いだ女性が綱を引く場合には、嫁ぎ先の綱を引くという。⑦ 祭租儀礼昭和16年ころまで毎年行われていた玉代勢の綱引きは、旧暦6月25日のカシチーの日を定日に、子どもたちを中心に行うワラビジナ(子ども綱)であった。網の材料となるワラ集めや、綱の製作も子どもたちがおこなったが、不幸のあった家庭の子どもは一年忌が済むまで綱引きに参加することはなかった、という(宮平苗さん談)。玉代勢でも、綱を引き終えるとカニチ焼きの儀礼があった。イーンダカリ(アガリ・雄綱)は村屋の敷地内広場で、シチャンダカリ(イリ・雌綱)はヒージャーイー(タメーシヒージャーガーの上)で、あらかじめ準備したワラ束を焼いた。焼いたワラ束の灰はその場所に放置された。カニチ焼きにはムラのヤクミや有志らが付き添い、豊作や、ムラ人の健康などを願った。また、子どもたちはその火の上を跳び越えるなどしていたという。各家庭では、新米で炊いた白カシチーを神仏に供えて、家族の健康や、豊作を願い、ウサンデー(直会)してから子供たちの綱引きを見物した。また、婚出した姉妹に対して実家の兄弟からムイブン(新米で炊いたご飯を大盛りにしたもの)を届ける「シチュマカミラシjの習俗もあった。-179ー

元のページ  ../index.html#176

このブックを見る