北谷町の綱引き
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落札したものが綱引き後の片付けもおこなったようである。ロ.カニチ棒カニチ棒は1本で、長さ6--7尺(180cm--210cm)ほどであったが、太さについては不明である。材質はリュウキユウマツで、朽ちて折れると危険なので毎年新調した。③備え・示威行為イ.旗頭例年の綱引きには、旗頭は用いなかった。旗頭は寅年の大綱引き(ウーンナ)の時にメンダカリ、クシンダカリ各2本ずつの計4本用いた(大綱引きに使う旗頭については、第二章2・備え・示威行為を参照のこと)0ロ.テービー綱引きに使うテービーには、サトウキビの搾り殻(ウージンガラー)が使われた。長さは6尺ほどで、3--4本を縄で束ねて使った。その直径は2寸5分程であった。ウージンガラーは各家庭から提供され、メンダカリが組合敷地で、クシンダカリは北玉小学校での綱作りの際に作った。本数は決まっていなかった.綱引きがはじまると、見物人をテービーを使って急き立てて綱引きに参加させた。また、“チナヒチガー"あるいは“ウヮーナイ、クヮーナイ"と言って、日頃何らかの根みを持っている人が、綱引きにはテービーで、その相手を叩いたりしても許された。ハ.ガーエー綱引きに使われた楽器はドラガニで、メンダカリ、クシンダカリに各1個ずつあった。メンダカリ、クシンダカリでl本1本作られた綱は、綱引き場であるンマイー(馬場)で組み立てられた。そのためミチジユネーはなかった。そして綱引きが終わると、その場でメンダカリ、クシンダカリ双方が、“サーサーガーエー"と言ってシーチェー(押し合い)を行った。シーチェーはメンダカリ、クシンダカリ、あるいは男女関係なく入り交ざって「サーサーサーサー」と叫びながら背中や腕を使って押し合う競技であった。これが終わると、“メーカタ(舞方)"が行われた。乙のメーカタには、先のサーサーガーエーとは異なり腕力のある青年男性が参加した。メンダカりがクシンダカリに対して、クシンダカリがメンダカリに対して意地を表す競技であった。青年男性が出て空手の型を相手に示した。これを“メーカタ"と言った。型は特に決まっておらず、個々の型を披露した。そのため上手な入、下手な人がいたようである。型の曜子は「タチミソリ、メーカタ…jなどと三味線のリズムに合わせて歌を歌ったりすることはなく、ドラガニを使った。そして「ト一、ナイシガウランジレーJと言って相手を誘い出した。相手が「トー、クレーワーガナインjと思って出てくると、組み手となり、相手を倒す勝負となった。これを“トーセークルパセー"といった。メーカタとトーセークルパセーを含めて“メーカタ"と言った。このトーセークルパセーは、相手を転ばした時点で勝負はついたが、メ-168-

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