北谷町の綱引き
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た。下勢頭では、綱を2回引いたが2回とも引く前にシーチェーを行った。シーチェーは字の男性がメンダカリとクシンダカリとに分かれ、腕から肩を使ってEいにぶつかりあう競技で、相手側を4--5m程押すと決着がついた。シーチェーはただ押し合うだけでなく、テービーでの叩き合いや、水掛けもあった。水をかけられて全身ずぶ濡れの状態であったが、シーチェーが終わる頃には着物は乾いていた。そのためメンダカリは屋号下花城のイケ(溜め池)、クシンダカリは、屋号前ハギ花城(メーハギハナグシク)のイケの水に浸かつて再び濡らした。下勢頭の場合、綱引きはクシンダカリが勝つが、シーチェーはメンダカリが勝つと大方決まっていたようである。綱を引き終えると、屋号下花城の前の物置場で青年達が角力をとった。角力には、余所からの見物人も参加することができた。④衣装テービーの火の粉が落ちてくるので、男女とも木綿の冬物を着ていた。また頭には、濡れたタオルで頬被りをした。⑤綱の引き方イ.網寄せとかんぬきの合わせ方雌雄それぞれのメンバーが、踊手を乗せた一番網と、二番綱を担いでソンドウ(村道)に入場してくると、一番網と二番網を連結させ、雌雌綱雄の網をつぐカニチグチをはさんで双方が向かい合った。しばらくすると双方の青年たちによるシーチェーがはじまった。その後、「ユシレ一、ハーイヤJのかけ声にあわせて綱寄せが行われた。網を寄せる場合、相手側の方に網を寄せ過ぎると不利になるといって、双方ともなかなか綱を寄せようとはしなかった。そのため、綱寄せにはかなりの時間を要した。雌雄の綱をつぐ際には、雌網を雄網の横まで寄せ、カニチ部分の輸を立てたままの雄綱に、離綱のカ図3-3ニチ部分を横のほうからかぶせるようにして連結した(図3-3参照)。中央のカニチ棒を貫くのはカニチ棒を保管するクシンダカリの男性と決まっていた。カニチ棒を貫くと同時に綱引きの合図があった。下勢頭では、字の男性のみで綱を引き合うが、女性のなかには男装してまで綱を引こうとする人もいたという。しかし、双方には見回りがいたので不正はできなかった。また、メンダカリ側は道が下りになっていたので、一見、引きやすそうに思われるが、クシンダカリ側が網を上にあげて引くため、メンダカリが不利になり、クシンダカリが勝つことが'hd

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