北谷町の綱引き
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酒を捧げ、次いで、郷友会会長の照屋信正さんによって旧字のビンシーから花米と酒が捧げられた。その後、参加者全員に盃がまわされ、11時55分頃ナカヌシーでの祈願を終了した。マタジ(湧水神)北谷ノロの末吉文さんによれば、かつてとの拝所には、琉球石灰岩の大きな岩があり、その岩の隙聞から水が湧き出ていた、という。そして、その湧泉をマタジウカ一、あるいはマタジリュウグと呼び、村落祭租の中心的役割を果たした近代以前の北谷ノロは、この湧泉で休浴してから村落の祭記に臨んだ、という。このマタジは、ウガミサーの知念清子さんの教えによって、1989(平成元)年写真2-146 マタジ(1989年建)に北谷ノ口殿内の家人らが建立した。東シナ海を望むマタジには、石碑が建てられ、その石碑の表に「拝所マタジ平成元年三月吉日建立J、裏には「湧水神Jと陰刻されている。12時10分ころにマタジへ到着した一行は、供物(以下省略、ノ口殿内を参照、線香・クパンチンなどは安良波リュウグを参照)を供えて祈願を行い、次いで、北谷スーガーへと向かった。北谷スーガー(塩川1)北谷スーガーは、国道58号線北谷交差点北東側に位置する北谷グスク南西側の麓に所在する。現在のスーガーは、コンクリート造の建物のなかに保存されている。建物の左側には「昭和三年九月吉日辰年改修御大典記念十二組昭和五十五年九月吉日申年改修字北谷字民一同jと記されている。このスーガーは戦前まで、字北谷の人々(主にクシンダカリの人々)が飲料水や正月の若水を取るカーとして使用した。現在は大綱引きのメーウガミのほか、旧正月3日のハチウビ一、旧暦8月11日のカーウビーの際に、北谷ノロ殿内の家人らによる拝みが行われている。13時5分ころスーガーへ到着した一行は、供物を供えて拝みを行い、拝みを終了するとノ口、郷友会会長の照屋さんの順に花米と酒を捧げ、綱のカヌチ根軸へと移動した。写真2-147 北谷スーガ一(塩J11)での祈願124-

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