北谷町の綱引き
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旧字北谷の新垣祐喜さんが祈願をおこなった。伐採される松の木の根元には縦約10cm、横約5cmの白紙3枚と、線香15本(ヒラウコウ2枚と0)、そして泡盛が供えられた。② 綱の浄めと成功祈願(新暦8月12日)雌雄の大綱が完成した8月12日、第12代旧字北谷郷友会会長(戦後の第l回北谷三ヵ村大綱引当時)をつとめた栄田安貞さんと、今回の北谷三ヵ村大綱引き実行委員長の照屋信正さんによって、雌雄の綱に泡盛が捧げられ、綱の浄めと大綱引きの成功祈願が行われた。③各字のメーウガミ(前拝み)1998 (平成10)年8月16日(旧6月25日)の北谷三ヵ村大綱引き(ウーンナ)写真2-136松の木を運びだすカニチ棒専門部会のみなさん写真2-137 完成した綱の浄めと成功祈願に先立つて、旧字北谷・玉代勢・伝道の三ヵ字では、各字ごとにそれぞれの拝所をまわり字民の健康と字の繁栄、そして大綱引きの成功を祈願するメーウガミ(前拝み)を行った。イ.旧字北谷のメーウガミ戦前の字北谷では、旧暦6月24日に字のヤクミ(区長・スーガシラ・ニーセーガシラ)と、北谷ノロが大綱引きに関するメーウガミを行った。字のヤクミらは、まず村屋の敷地内にまつられる火ヌ神で大綱引きの成功を祈願してからノ口殿内に赴き、北谷ノロとともにノロ殿内の神仏を拝み、そのあと北谷グスクに上った。北谷グスクでは、大綱引きの安全と、その加護を殿と西御巌(イリウタキ・十三神)で祈ったという(末吉文さん・仲村新正さん・津嘉山フジさん談)。1974 (昭和49)年に復活した大綱引きは、36年ぶりの復活ということから、北谷三ヵ字では、大綱引きに先立つて各字のビンシー(酒・盃・花米の入った携帯用拝み道具)を供出し、大綱引き実行委員会の三役と、前北谷ノ口(故末吉カメさん)が旧字北谷・玉代勢・伝道の拝所をはじめ、首里十二ヵ所(戦後は、慈眼寺・万松院・盛光寺・安国寺・西来院、『沖縄大百科事典111983)を巡拝して大綱引きの復活を告げる拝みと、三ヵ字の繁栄を祈願した。また、大綱引き当日(旧暦6月25日が月曜日であったため、一日早め6月24日に挙行された)の北谷ノ口殿内では、旧字北谷郷友会の三役らが大綱引きが首-120-

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